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2018年3月20日 (火)

避難所運営 ~二つのシンポジュウムを拝聴して~

ここ何年も、セミナーとかシンポジュウムは自分の興味で行かないようにしている。誰かに誘われないと行かない。
自分が興味のあるものばかり行っていた頃、ふと気がつくととても視野が狭くなっていることに気がつくことが何度か。そのような経験から、誘われたら&都合がついたら行く、こんな感じで行くように心がけている。
そんな感じなので、足を運ぶ回数も少ない。最近(書いているのは、2018年3月)この一ヶ月では二つのシンポジウムに行きました。どちらも大規模災害時にペットをどうするか、特に避難所ではどうなるのか、に多くの時間が割かれた内容でした。
先に書きましたが、誘われたから行っただけですが、偶然同じテーマの内容となりました。
 

一つ目は、2月25日に環境省主催の"シンポジウム「人とペットの災害対策」"
https://www.env.go.jp/press/105042.html

行ってみたら、行政や施設運営者向けの内容でした。
施設運営者というのは、区市町村や都道府県の体育館などの運営を委託されている業者。それらと行政、つまり避難所を管理・運営することになるだろう立場の方々。
「自分には関係ないのでは?」と思いながら聴いていると、「知って良かった」と感じたことが多々ありました。

そのような方々が気にすることは、インフラがどれだけ使えるか・避難所となる施設が安全か、など。
そして物資。備蓄はすぐになくなったり不足のものが出るだろうから、支援をしてもらうことを考える。支援を受けること、これを「受援」という。このシンポジウムでは、この言葉がキーワードの一つになっていました。

支援と聞くと、支援物資(モノ)を想像しますが、専門家やノウハウの支援も必要になる。
避難所一般の問題として、小児科の先生がなかなか来てくれない(確保できない)ということがあるそうですが、それに似て、獣医さんがなかなか来てくれないという経験談もありました。

専門家というのかどうか分かりませんが、動物関係のボランティアが駆けつけて「こんなことさせてください!」と申し出てくれるのは嬉しいのですが、過去の経験から、その団体のことを何も知らずに「では、お願いします」とは言うことは出来ない、との話や、避難されている人たちに必要なことであっても、何かしらの危険が発生する可能性があれば、とても慎重に判断しなければならず、そのような団体からも被災者の方たちからも理解されないこともある、とか。
そのようなことを減らすためには、ボランティア団体と、事前(平時)から連携が必要だとの話の中に出てきました。
行政同士も具体的な支援・受援の取り決めが必要だという話もありました。そのためにも災害想定や災害時の情報伝達手段の検討(何を支援してほしいかを挙げてもらう)などが重要だとか。小さなことのように思えますが、避難所に入ってきた人の名簿を統一できているだけでも随分と違うとか。

他のキーワードとして「ファースト・ミッション・ボックス」。セカンド、サードまであるらしい。
以下、どんなものか説明を書きますが、私は実物を見たことないので、誤解があるかもしれませんのでそのつもりで読んでください。同様の理由で詳しいことも書きませんので、ご興味あるかたは、よく調べてみたください。

ファーストは避難所立ち上げまで何をやればいいのかが書いているそうですが、そこに来た人が、どんな人でもあっても、分かるように書いてあるそうです。「そんなこと出来るのか?」と私も思っていますが、実際にそのようなものを見た人から聞いた話だと、図入り、写真入りでとても懇切丁寧に説明されているもののようです。
「ファイル」ではなく「ボックス」なのは、詳細に書かれているが故、嵩張るのかなと勝手に想像しましたが、どうも違うようです。以下のような記事がありました。
https://www.mlab.ne.jp/columns/columns_20180319/

私が今まで聞いた話の中では、この記事のものよりも、もっと詳しく分かり易いものが用意されている避難所もあるようです。

これは動物関係なしの避難所一般の話です。まず調べて考えて作り、それを基に訓練し、誰でもその中にあるものを見れば役割が担えるように、ブラッシュ・アップさせてゆくようです。

避難所にこのようなものがあり、その中に、ペットを連れて来た人の対応もしっかり記載されていることが珍しくない世の中になってほしいなと願うばかりです。

その他、細かい(具体的な)話がいっぱい出てきました。避難している人たちは「なんでやってくれないんだ!」と思うようなことも「そういうとこも考えないとならないのか」と気付かされることが多々ありました。
また、避難所に身を寄せている人たちが落ち着いている、いい人ばかりなら判断もし易いとおもいますが、異常事態でもありますし、怪我している人もいるでしょうし、精神的にも不安定になる人も少なからずいることでしょう。そして知らない人たち集まりであることが多いです。そのような場所ですから、何事にも慎重にならざるを得ないということでした。過去の大災害時に、そのような記事を読んだ記憶があるので、「なるほど」と思ったものでした。

 

もう一つは、3月17日に、行政書士ADR東京センター主催で行われた、 『ペットトラブルシンポジウム』 〜 ペットの同行避難トラブルをADRで解決!〜  です。

こちらは飼い主一般向け。避難所に身を寄せる立場の人向け。

話が前後しますが、環境省主催のシンポジウムが行われた経緯として、以前よりある「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」の見直しがなされ、平成30年2月下旬に「人とペットの災害対策ガイドライン」が発表されることを受けのことでした。ガイドラインが見直されることになった背景は、新しいガイドラインの1ページ目をご覧ください。

こちらのシンポジウムでも、その話が少しありました。大規模災害時でも、「とにかく避難所に行くべき!」など一括りの考えではなく、多くの選択肢と自分のおかれた状況から判断してください、ということでした。

また「同行避難」という言葉についても説明がありました。ネットなどで「同行避難は、避難所に一緒に行くけど、同じスペースで暮らすことが出来ないパターンで、同伴避難は同じスペースで暮らすことが出来るパターン」と書かれていることがあるそうですが、そうではないと定義していました。同行避難は公の文書によく出てくるので、こちらの説明をしっかりしていました。
同行避難とは「ペットと共に移動を 伴う避難行動」(新しいガイドライン5ページ。同伴避難ついても書かれています)であり、その行動のことを指し、避難所でどのような状態になるかを指しているものではない、とのこと。

話の多くは、自分の立場(普通の飼い主)の人間が対象なので、「うんうん、分かっている」という内容が多く、特に書くこともありませんが、環境省のシンポジウムを聴いてから日も経っていなかったので、「受け入れる避難所や物資を提供する人たちも大変なんだよな~。だから平時からちゃんと考えておかないといけないんだよな」と、頷きながら聴いていました。

少々目新しかった内容として、(特に東日本大震災のときのことや、大島や三宅島の全島避難で)ペットを置いてきてしまったため、後から多くの費用や労力を必要とすることになったことが何度か話にでてきました。
同行避難を促進しないと結果として社会として大きなコストがかかる、ということがまだ知られていないんだろうなと思いながら聴いていました。

このシンポジウムの本題的な部分は、ペットの同行避難におけるトラブルをテーマにした「模擬調停」、ですが、川の氾濫によって数日間避難所で暮らさなければならなくなった飼い主同士のトラブルでした。
避難所に身を寄せると聞くと、数ヶ月から数年の避難生活を送るようなものを(私は)想像してしまいますが、数日間のケースもあるんだな、と改めて思ったものでした。
人もペットも不安になっているときです。イライラしたり、いつもと違う行動をしてしまうこともあるでしょう。そんな状況・状態でのトラブル。経験もないし話もあまり聞いたことがなかったので、「こんな感じなのかなぁ」と参考になりました。

ペットのトラブルは「裁判にするほどでもないけど...」の程度のものが多いとおもいますので、ADRとは相性がいいかも。

 

二つのシンポジウムを聴いて思ったこと・感じたこと。

昔は、行き当たりばったりの感じがあった避難所運営も、過去の記録も集まってきて、科学的な方法論が確立されてきたようです。
今までは、「避難所運営なんて何が起こるか分からないものだから大変そう」と思っていましたが、「(実物を見たことないので想像も出来ないけど)誰でも運営できる方法を(危機管理の専門家たちが)考えて、それを実践している(準備をはじめている)避難所があるんだな」ということは分かりました。
「よく分からないから大変そう」から「やり方を勉強すれば、みんな出来るかも」と考えが変わってきました。

二つのシンポジウム双方で課題とされていたことが、動物が苦手・嫌いな人、そうではないけど全く興味がない人などに、避難所におけるペットの扱いや、(避難所に限らず)ペットに関する支援をどのように情報発信してゆくか、が課題とのことです。
そのような方々への情報発信は、災害時のことに限らず、今まで以上に必要になってくるのではと感じているところです。

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