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2017年12月 7日 (木)

(読書感想文)やさしいねこ

20171205a2017年10月30日、この本を扱った写真展に行ってきた。場所は祖師ヶ谷大蔵。活気のある商店街が羨ましい。美味しそうな飲食店も多い。駅近くにあるドーナツ屋さんは時々利用している。

その写真展でこの本を購入。著者は、太田康介さんという人。カメラマンである。カメラマンが自分の猫を撮り、文章も書いている。

ここを読みに来る人の中には、太田さんを知らない人もいるだろうから、簡単に説明しておく。
元は戦場カメラマンらしい。東日本大震災以後は、福島に残された動物たちを撮ったり、その動物たちに関わる活動をしている。

イベントなどで何度がお会いしたことがあるですが、そのようなときはファン(?)のような方々に囲まれて近寄り難い雰囲気。ご本人の雰囲気がではなく、人だかりが苦手な私は、人がワラワラいるの所には近寄り難い。

私の印象は、まず「体が大きい」「力ありそう」「喧嘩強そう」。そして「優しそう」。他人からの伝え聞きからは「いつもお金なさそう」。

 

20171205b何故、こんなことを書くのか。
猫の写真集であれば、写真家の人柄など関係なく写真の感想を書けばいい。しかし、この本には文章がついている。それもそこそこの量があり、その内容が、猫(個体だったり猫全般だったり)についての説明だったり、野良猫に向けての気持ちだったり説明だったり、時には感情だったり。

カメラマンの写真なのに、「どうだ!」と言わんばかりのものがない。淡々としているという感じ。そこに文章がついている。実は、写真のための文章ではなく、文章のための写真なのだ。
それに気付いたとき驚いた。カメラマンが写真を見せるのではなく、自分の飼い猫になった「ぽー」さんを知ってほしい、そして、野良猫のことを知ってほしいという気持ちからこの本を出している。

読んだ感想は一言では言えない。一言で言えというなら「複雑」。
私は、自分の考えを発表するような著書が大嫌いだ。そのような本のほとんどが「それではダメでしょう。そんなことやっていたらいたら、いつか猫が可哀相な目に遭う。そのとき、あなたは解決できないのでは?」と感じてしまう内容が含まれているから。
しかし、太田さんが書いているとそう感じないのだ(たぶん、太田さんだけではなく太田ご夫妻だからだとおもいます)。この人ならきっと解決できるおもう。解決できなくても、出来る限りのことを行い、それは誰もが理解できることだろうとおもってしまう。

ちなみに、帯は糸井重里さんが書いている(上の写真)。
「ぽーという猫がいた。/それだけで、うれしくなる」となっている。

ぽーさんも興味深い猫ですが、太田さんの感じ方や行動も興味深いし、この本を読んで行動を起こす人もいるのではないかと思います。

外を自由に歩いている飼い主のいない猫についての理解を深めたい人は、是非読んでみていただきたい。
また、自分は猫が嫌いで、猫好きな人のことを理解できない人にも読んでほしい。猫に対してここまでの気持ちと行動力がある人がいることを知ってほしい。太田さんほど行動している人は少ないかもしれませんが、猫に対してこのような感じ方、考え方をしている人が少なからず存在することを知っておいてほしい。

 

ただ、いいのかな?、と感じた内容もあった。
個人的なTNRの内容があり、それを勧めているように読む人もいるかもしれない。

TNRとは、捕獲機(Trap)で安全に捕まえて、避妊去勢手術をして(Neuter)、元の場所に戻す(Retuern)こと。
野良猫を捕まえて・避妊去勢手術をし・元居た場所に戻す。つまり、野良猫に避妊去勢手術をするだけ。

何故、こんなことをするのか。もちろん、猫を増やさないため。

猫は繁殖力旺盛で自然に任せておけば(病気や事故で死ななければ)、猫1カップルが二年で80匹以上になる計算になります。
増えてハッピーならいいのですが、猫が嫌いな人もいれば、何かしらの被害を受ける人もいる。なので、「とにかく猫がいなくなればいい!」という人もいるのです。

猫を殺す訳にはいかないし、前述の数の野良猫全てを飼い猫にするのも非現実的なので、現実的な対策の一つとして、このTNRがある。

しかし、TNRをしただけでは迷惑行為対策にはなりません。
対策として、猫を管理し、食べ物や排泄のお世話もし、健康管理や環境衛生も考慮して、周囲に迷惑をかけないようにしてゆこうというのが「地域猫活動」です。

個人的なTNR活動は、地域猫活動によからぬ影響を及ぼすことがあります。地域猫活動は、地域の人たちで行う活動なのでコミュニケーションがとれていないとなりません。個人でTNRをやっている人の中には、地域の人たちとのコミュニケーションをとらず、他の人からの助言や注意に全く耳を傾むけない人もいるそうです。このような人たちの中に、猫がいることによる迷惑行為を助長させている人もいると聞きます。
この本では、そのような説明がない。また、最も猫が嫌われる原因の一つである糞尿対策のことも書かれていない。

残念にも感じますが、完璧な理論展開をする必要もないとおもいます。私のブログのように(苦)、しっかり説明してしまうと読み手は疲れてしまい、踏み出すことを躊躇してしまう。
この本を読み、町中に暮らす猫がどういうものなのか、彼らに対して何をしてあげられるのか。そのようなことを考える入口になってくれる本だとおもう。さらにその先、行動に移すときは、他にも情報を集めてくれることでしょう。

 

20171205c一般人が入れない福島の特殊な地域に通って活動するくらいのプロカメラマンが、町中の猫をことを伝えるために選んだ写真を使って、町中の猫のことをちょっと考えてほしいと作った本だと、私は感じました(もちろん、親ばか部分も多々ありますが)。
(右のポストカードは、写真展会場で本を購入した人の特典。天使になったぽーさんの幸せそうな雰囲気が印象的。ちょっと不幸そうなおばまの顔が対照的。)

誰でも入ることが出来る入口つくりは簡単なようで簡単ではありません。多様な考え方を認める現在において、とても難しいことだとおもいます。それにチャレンジした一冊だとおもいます。

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ぽーさんは、猫神様から、「人間たちに猫のことをもっと理解させるように」との使命を受けてやってきたのかも、とおもったりもしました。そして太田さんは、「俺はやるから」とぽーさんを通して猫神様に約束したのだと想像しています。

とても個人的なことですが、ぽーさんはどことなくおばまに似ているような気がします。
他の猫と上手くやっていけないところ。でも、弱い猫、弱っている猫には優しいところ。ごはんを持ってゆくと「しゃー」と言ってみたいするところ。体格も似た感じ。あ、尻尾の先がたぬきっぽいところも。

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