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2014年11月30日 (日)

マスコミの方々へ(遺棄犬、放置犬)

(前置き)
大急ぎで書きますので、ご気分を害された部分、誤解を招く部分等、不都合な部分があるかもしれません。お気づきの点がございましたらご指摘ください。出来る限りの対応をいたします。

(何の話かというと)
最近、ニュースで取り上げられている、遺棄犬・放置犬のことです。マスコミの方々へ「こんな視点で伝えていただけたら嬉しいな」という内容です。参考にしてくださればとても嬉しいです。

(それらの犬って?)
栃木や富山の事件では、繁殖で使われた犬がそのようなことになりました。では、そのような犬たちは、特別酷い扱いを受けているのか、普通はそうでもないのか、それらが特別かどうか検証し、伝えて欲しい。

(検証の仕方)
何処かの似たような業者を捕まえてきて、声を変えて証言させるなんてことはしないで欲しい。必要もない。
最近、ホームセンターに行くと、場所によって値段はマチマチですが、犬の価格がとってもアバウトに10万円だとします。もっと高いこともあれば安いことも。10万円以上したのが時間が経つにつれて安くなることも。とにかく10万円って、ことで。この金額でどれだけのことをしてあげられるのかな?、と検証してください。

(お店にて)
ショーケースに居る間のコストはどれくらいだろう。食べ物代、水道光熱費、施設の減価償却、時に医療費など。それと人件費分をある程度上乗せする。もちろん、お店としての利益も少しは上乗せしないと。これで仮定の仕入れ値が出ますよね。
(子犬の仕入れ値については、マスコミの方々もある程度ご存じだと思うけど。)

(繁殖者にて)
ややこしくせずに、繁殖者から直接仕入れたとする。繁殖業者のコストは?
今、ペットショップのことを書いたので、ショップへの輸送費、これも忘れてはなりません。
次に施設のこと。最低限、これくらいのことはしようね、という前提を立ててください。これくらいの規模(頭数を思いつきで決めてください。ただし、今回の事件のことを考えて最低50くらいにしてください。)の施設に、一頭当たりこれくらいのケージが必要だ。そこの空調や照明。施設としては、外での運動場。全ての犬が一日一回この頭数が順番に出してもらうためには、これくらいの運動場が必要になる。繁殖を考えるのですから、産室のようなところも必要ですね。もちろん土地代も。
当たり前のことですが、繁殖用の親犬が必要です。出来ることなら父犬はチャンピンをとっておいて欲しい。母犬は何回も繁殖させるから丈夫な体の犬にしたい。そう考えた場合、お幾らくらいで、先に決めた数(父犬は少なくていいです)、つまり施設に収容できる数とで、繁殖用の父犬・母犬にかかる投資必要額を出してみてください。
そして、それらの日常のお世話。もちろん、食べ物が必要。これは「最低これくらいは」ということを、マスコミの方にも勉強するなり考えてみて欲しい。繰り返し繁殖する犬に対しての食べ物として。予防も含めて医療費も必要。これは業者向けの獣医さんというのがいますので「だいたいこれくらい」と聞くのはいいと思います。それとお産のときの消耗品や万一のときの医療費。出荷(?)するまでの子犬の食べ物、虫下し、ワクチンなどの費用(これは別請求になることあるけど)。
見落としては困るのが、食べ物などを置く場所(倉庫)や方法によっては入手の手間、そして排泄物や消耗品の廃棄処理料。
そしてもちろん人件費。扱っているのは生き物です。休みはありません。お産になれば夜中も仕事かもしれません。(富山の事件では、「八十代の男性が一人で約六十匹を飼育」と書かれていますが、こういうことが起こらないための適正な人員数、無理のない労働時間数、そこから考えた賃金を考えてください。)
自分が繁殖をした犬の価値を確かめたい人は、ショーにも出します。「ある程度」を考えるのであれば、これも入れて欲しいのですが、10万円コースだと無理でしょうね。

(収入は?)
50頭だとしましょう。色々な犬種を扱うことを考えて、父犬が10頭、母犬40頭とする。犬種によって、個体によって一回のお産で産む数はまちまちですが、とっても大まかな平均として4頭だとする。年間二回繁殖させると、4×40×2=160頭。としたいのですが、うまい具合に全て売れるわけではありません。5年前に流行り始めたから始めた犬種が、もう売れなくなったりします。その犬種が流行らなくなれば、繁殖しても売れませんから、それらの犬たちは費用が掛かるだけの犬になります。また、小売店から注文あったけどキャンセルになることもあります。なので、160なんて夢のまた夢。
でも、160として、先に考えたお店の仕入れ値(=繁殖業者の売値)をかければ年間売り上げがでます。その金額で、50頭の犬の健康を維持し、年間80のお産とその子犬たちの世話をする人件費だけでも出せるでしょうか。先に書いたように、他に色々あります。

(言いたいことは)
このような問題が起きた時、酷い状況の犬たちの姿を見せても、「酷い業者いるものだ。こんな業者は早く取り締まれ。でも、ほんの一部の業者でうちの○○ちゃんはペットショップで買ったけど、絶対にこんな業者から仕入れたのではない。私だけではない。ほとんどの人がそうだ!」と確かめもせず思い込んでいます。だからず~っと状況が変わってきませんでした。(昔は、20~30万円で売れていこともあるけど)
結論として、土地、建築費、人件費の高い日本では、今の10万円程度の小売値では繁殖業は成り立ちません。成り立たすためにはどこかで目をつむらなければならない。そのようなことを日常的にやっていて、犬種の流行が変わったり、キャンセルが出たり、施設内で病気がうつってしまったりなど突発的なビジネスリスクが起こってしまえば、あっという間に、施設内の状況は悪化してゆきます。
マスコミの人なら知っている、過去に凄い数の動物を使って繁殖をしていた施設が火事になったことがありましたよね。あのとき、動物の数が報道されていましたが、マスコミの人なら従業員数も知っていると思います。それでどれだけのことが出来ますか?、詳しい実際のことを書くと、色々解説しなければならないので書きませんが、10万円で犬がショーケースに並ぶ現在、大量の犬を抱えて繁殖業を行うことは、健全なビジネスと言えないのではないでしょうか。

(何が問題?)
「そんなの一部の業者」と思わせることが出来てきたので、この現状が続いています。それを可能にしてきた仕掛けは何処にあるのか。それがペットショップという存在です。ショーケースに入っている彼らが何処から来たのか問わないというシステムがその機能を果たしてきました。

(では、どうすれば?)
私のブログや Twitter や FaceBook を見てくださっている人にはお馴染みの、「また、それかい?」的なことですが(笑)

・犬を求める人が繁殖場所を必ず見に行くことを義務付ける。「欧米では」という言葉が好きな人たちの表現だと「ブリーダーから購入すること」を義務付ける。
映画などで見たことある人もいると思いますが、「欧米(特に米かな)では」ブリーダーといっても自分の犬(ペット)の子供を売るような感じのところもあります。それでもいいのかという議論は置いといて(今問題にしているような業者に比べれば全然いいのでは?)、とにかくブリーダーだか繁殖業者だか(呼び方はどうでもいいのですが)その繁殖現場を見ること。そして、繁殖者と話をすること(その犬種のこと、血統のこと、その他犬に関することなんでも)。

・いきなり「義務付ける」のは無理があるので、前段階として、トレーサビリティーの厳格化。具体的には、繁殖した人が他人に犬(犬以外もそうして欲しいけど、今は犬の話なので)を譲渡する場合、マイクロチップを入れて、それを役所に届けることを義務付ける。どこに届けるかと言えば、犬の話をしているので、畜犬登録の付票のようなものを作り、そこに登録する。その犬が生きている間、狂犬病予防法の下、管理される。(これが出来るようになれば、つまりシステムが安定すれば、他の動物もやればいい。)
のんきに「ペットショップで買ったけど、うちの子は大丈夫だよね~」と考える人もいるだろうけど、「折角分かるんだからお里を見に行こう」と思う人もいることでしょう。ネットが発達し、みんながレポーターの時代だし。

(忘れてはならないこと)
90年代後半に始まった小型犬ブーム。あれから15年以上が経ちました。その間、犬の寿命は延びました。獣医療の発達とペット保険。そしてレスキュー団体の人たちの努力。
飼い主が寿命を延ばしてあげて当たり前になりました。今までは、「知り合いが、ペットショップから買って、どうにか飼っているから私も飼えるかも」という感じで犬を迎える人がペットショップで買うのが当たり前でした。今は、「犬の寿命とあなたのその間のことを考えて」「保険つかってもお金かかるし、時間もかかるよ。大病するかもしれないし、最期の看護もね」と言われるくらいは当たり前だし、本当は(法律で)そのようなことをショップの人が言うべき時代になったし、さらに「ショップに行く前に、保健所とかそういう団体の犬も見てみたら」と言われることも増えてきました。
つまり、求められる全体数が減ってきているのです。だから過当競争も起きる。長々と書きましたが、10万円という数字についてちょっと考えて欲しいのです。皆さんに「計算してみて!」というのは無理があるので、是非、マスコミの皆さんでこの解説をしてください。
一つ、忘れないで欲しいのは「犬には罪はない」ということ。このような報道がされると、何故か犬を手放そうとする人がいます。それに対するケアは十分に行ってください。

(私の考え)
いくら「こんな悪い奴らいる」「みんな捕まえろ」と言っても、きりがないです。ペットショップにてペットはイメージロンダリングされ、その存在が見えない限り、今まで通り許され続けます。(価格が下がって需要が減っているので、その意味で淘汰されてゆくだろうけど。)
マスコミの方々へお願いしたいことは、現場を見に行く必要もなく成り立たないことを、広く一般の方々に知らせ、国民が何らかの動きを作るきっかけになって、マスコミの方々に欲しいのです。私の書いた(では、どうすれば?)でなくとも、何らかの解決策に進むはずみをつけて欲しいのです。
これが「身近なペットのことを考える」ことの一つだと、私は考えています。

 

忙しいので見直しもしていませんので、不都合のある点などあると思います。ヘンな部分があったらご指摘願います。

 

人間とペット、そしてその他の生き物全てが、より健全な生活を送ることが出来ることを心から願っています。

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コメント

(追記:おかしくなる時)

本文内でも書いていますが改めて。

売り上げ先(ペットショップなど)から一括キャンセルをされたり、付き合いなくなったり、思わぬ犬種が流行り始めて扱っている犬種が売れなくなったり。

施設内で感染がおこり医療費がかかる、その他普通にビジネスで起こりうる、設備の取り換え、車の買い替え、など。

昔(20~30で売れた頃)は、このようなことが起こっても、売れる犬種の繁殖をちょっと追加して乗り切ることが出来ました。特にネット販売が盛んに行われていたときは。
そんなときに「これは商材」と自分に思い込ませるようになるんだろうな、と感じたことあります。

余計な話ですが、真面目な繁殖屋さんもそれくらいで売っていたので、分かる人からすると「同じお金出すなら、こっちが買えばいいのに」と思うような時代でした。

他でも書きましたが、この問題は実際のことをあまり追わない方がいいです。今の法律の感覚でやったらこれくらいのことはしないとね、を前提に机上の検証した方がいいです。
このような過酷な世界で生き残っている人たちの中には、とても能力の高い人がいて、3人分、もしかしたら5人分くらい働きます。だからどうにかやっていけたりします。
でも、その人が倒れたら犬たちどうなるのでしょうね。今の法律では、そこまで考えることを求めているのではないでしょうか。

投稿: yuge | 2014年12月 1日 (月) 10時32分

(追記:50という数字)

一般飼い主の人は「50頭も!」と思うかもしれません。
単純に50のケージを並べたことを想像してください。無理なくね。

ちょっとしたプレバブでもいいです。左右の壁にケージを横6、縦3で積んだとします。左右ですから36。窓の下、ドアの横に置けば、50のケージは入ります。

一室でご飯と水を与えることは難しくありません。
問題は運動をさせられるか。犬のことある程度勉強した人でないと分からないかもしれませんが、いい犬なら出来るんです。いい犬とは心身とも健康な犬。一般の飼い主でも飼い易い犬。
そうでない犬というのは、不健康で手がかかる。他の犬への攻撃性。吠えたり、通常が犬がしないだろう所や時間に排泄するなど、他の接触しなくても他の犬に影響を与える。
このような犬を仕入れてしまったら、商材と考えた場合、不良品と考えるべきですから処分(販売含む)したいところですが、なかなか出来なかったりして、全体が上手く回らなくなります。

単純に、どのようにケージに入っているかではなくて、一日の世話がどうであるか、酷い場合は何故そうなっているかを調べないと根本解決になりません。

が、そんなことやってられないですよね。だから「今の法の精神で」「机上の検証」でいいんです。「時代は変わったんだ!」で。

投稿: yuge | 2014年12月 1日 (月) 10時48分

(追記:ポイントになるのは「終生飼養」)

富山では、80代の男性が60頭のお世話をしていたようですね。このように、50くらいは普通にできるし、一人で100くらいは出来てしまうようです。その内容を深く立ち入ってゆくとどんどんややこしくなるので、こう言えばいいのです。

「あなたはよくやっているようですね。ところで、あなたが倒れたら、どうなるんですか?」と。「確実に終生飼養できるんですか?」と。
法十3二の犬猫等健康安全計画にそのような事項をしっかり書かせ、そこを検証するだけでも、だいぶ改善されるばずです。

投稿: yuge | 2014年12月 1日 (月) 10時54分

急いで書いたこともあるけれど、突っ込みどころを幾つか残しておいたのですが、今回も全く指摘がなくて「大丈夫か?」と心配になってしまいます。

今回は各論的なことでしたが、本質的なこととして、殺処分ゼロとか虐待をなくそうということを本気で訴えるなら、訴え方を変えないと。今までダメだったんだから。
そのことを分かっている人は多いと思うけど何故?、表面上格好いいこと言っても、どこかでかけられているブレーキに従わざるを得ないのかな、としか考えられません。

なぜ動物愛護を社会全体で取り組まなければならないのかを啓発しなければなりません。

しつこいですが、また書いておきました。そのような動きになるまで書き続けます。
もう20年くらい前から言われていること。そこから視線をそらそうとしている人たちの行動には気を付けましょう。

投稿: yuge | 2014年12月20日 (土) 11時35分

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